知事は来年度の道政執行方針の中で、北海道の確かな未来を創り上げる決意を示したが、地域の実情を把握する市町村の意見に耳を傾け、地に足のついた施策を積み上げ、確実に結果を出すとともに、エネルギー政策をはじめとする困難な課題に正面から向き合い、明確な方針を内外に示す必要がある。見解を伺う。
エネルギー政策や人口減少などの重要課題について、道民本位の立場で、北海道にとって最善となるよう適切に対応する。徹底した現場主義のもと、道民の切実な声を伺い、市町村や関係団体と対話を重ね、地域に必要な政策を実施し、雇用や人材、活力を呼び込めるよう、暮らし、産業、人づくりに関する施策を掛け合わせ、誰もが安心して暮らし続けられる北海道の実現に取り組む。
道は先日、次期北海道創生総合戦略の最終的な道案を報告した。国では地方創生2・0の本格的な議論が始まり、新しい考え方やコンセプトが打ち出されている。国の考え方をどのように受け止め、今後どう対応していくのか伺う。
道では国の考え方を十分踏まえ、原案で国の基本構想に対応した4つの「重点戦略プロジェクト」を設定したほか、エネルギー・デジタル・食などのポテンシャルを最大限発揮した取り組みが重要との考え方を明記した。今後の国の動きを見極め、必要に応じて道の戦略や取り組みを見直し、地域の強みや資源を活かした施策を展開する。
道の報告では、昨年度までの5年間の北海道行政基本条例に基づく取り組み状況は概ね適切と結論づけているが、市町村との連携協力による政策の推進など、最近では条例の理念が具体的な取り組みに結びついているとは言えない事例もある。今後、条例の基本理念に沿った道政運営にどのように取り組む考えか。
社会経済情勢が大きく変化する中、条例の理念等を尊重し、課題解決に機動的に取り組み、市町村との連携協力でも、意見の把握や政策への反映などに取り組むことが重要。全職員が条例の理念を共有し、これまで以上に地域の声を真摯に受け止め、地域と共に歩み、北海道を前に進めていく。
道財政は今後も多額の収支不足が見込まれ、厳しい状況が予想される。令和3年策定の行財政運営の基本方針は来年度まで。今後の行財政改革に向けて、新方針の策定にどのように取り組むのか。
新これまでの課題などを踏まえ、専門家の意見を伺い、若手職員の自由な発想や行政マネジメントに関する先進事例なども取り入れ、速やかに検討し、道庁組織の行財政基盤強化に向けた取り組みを進める。
北海道地域防災計画の修正では、避難所マニュアルについてどのような視点とプロセスで見直したのか。地域防災計画の実効性をどのように確保していく考えか。
避難生活で良好な生活環境の確保を一層図る観点から、女性や災害弱者への配慮が行き届いた運営などの取り組みを盛り込んだ。道として、より実践的な避難所運営訓練や防災教育を展開するほか、物資の備蓄や調達・供給体制の整備、広域的な応援・受援体制の充実強化を図っていく。
泊原子力発電所の原子炉設置変更許可に向けた手続きで、立地自治体の理解を得る段階では、積丹半島周辺での避難が確実に実施されるよう、能登半島地震での教訓や最新の道路整備状況等を踏まえ、原子力防災計画の実効性を高める取り組みが求められる。今後どう対処していく考えか。
原子力災害時に地域住民が計画に基づく避難や防護措置を確実に行えるよう、「泊域の緊急時対応」の改定に向けて国と協議を進め、新技術を取り入れた実践的な防災訓練を積み重ねるなど、原子力防災対策の一層の充実・強化に取り組んでいく。
道東京で開催された高レベル放射性廃棄物処分場選定に関する説明会で、北方領土に最終処分場を造ることを条件に四島返還を求めてはとの意見に、経済産業省幹部が「魅力的な提案」と発言した。元島民や返還運動関係者、多くの道民の思いを踏みにじる発言で、北方領土に対する理解が広がりを欠くことが明らかになった。知事の見解を伺う。。
道として来年度新たに、道内都市部の大規模商業施設での啓発イベントや、赤れんが庁舎でデジタル技術を活用し、効果的に情報発信するなど、啓発の取り組みを強化する。国に対しても、国民世論の啓発により一層取り組むよう求めていく。
JR北海道では、鉄道輸送の安全を脅かす事態が続き大変遺憾。道は今年度を上回る予算を計上し、積極的な利用促進策を展開するとしているが、JR北海道の安全対策に関する認識と、今後の利用促進策の展開への所見を伺う。
JRの社長に対し、私から直接、安全運行に万全を期すよう申し入れた。道として、効果的な利用促進策を切れ目なく展開し、路線の維持・活性化にしっかり取り組む。
国はクマ類を指定管理鳥獣に指定し新たな交付金を創設したほか、鳥獣保護管理法改正案が閣議決定された。道として今後、ハンターが安心して活動できる環境づくりをどのように行い、新たな捕獲目標の達成に取り組んでいくのか伺う。
速やかに市町村や猟友会への説明会を実施するほか、現場での実践的な出没対応訓練を道内各地で実施するなど、関係者が確かな信頼関係のもと活動できる体制の構築に取り組む。来年度、地域の対応力強化を図るほか、国の新たな交付金を活用した市町村のゾーニング計画策定など、捕獲数の上積みを図る。
エゾシカの生息数や農林水産業被害の増加に歯止めをかけ、減少に転じさせるため、捕獲目標達成に向け、道として今後どう取り組むのか。
国や道、市町村による有害捕獲の強化や狩猟者の利便性と捕獲意欲の向上に努め、エゾシカを活用した製品のブランド価値向上や消費拡大の推進など、捕獲と有効活用を両輪にエゾシカ対策を一層強化していく。
国が昨年末に策定した「医師偏在是正プラン」に基づき、道も対策を講じる必要がある。今後どう対応するのか。医師の時間外労働の上限規制適用から1年、医療機関の現状や課題をどう認識し、どのように対応していく考えか。
是正プランに関し、国の動向を注視しつつ遅滞なく適切に対応する。道の実態調査結果では、医師確保が難しい場合、時間外労働の上限を超える可能性のある医療機関も見受けられた。医師派遣を行う大学病院等への支援に取り組み、新年度予算に必要額を計上した。
本定例会に新たなこども基本条例案が提案され、新たなこども計画案が示された。少子化の流れを変え、子どもたちが将来にわたり幸せに過ごせる社会の実現に向けて、どのように取り組む考えか伺う。
道は来年度、子どもや周囲の大人がこどもの権利について知るための取り組みを新たに実施するほか、こどもの意見反映推進事業の拡充、若者が妊娠・出産を含む将来のライフプランを考えるためのワークショップ開催などを進める。里親支援センター設置による家庭養育の一層の推進、保育士確保策の拡充、こども・子育て政策の情報発信を強化し、若者や子育て当事者の利便性向上を図る。
道は昨年から進めている見直しで、他県との競争上どのような優位性を確保できたと考えているか。今後の立地促進に向けてどう取り組む考えか。
豊富な再エネポテンシャル、GX特区による規制緩和、新たなGX推進税制の優遇措置に加え、この度の見直しで他地域に比べ十分な立地競争力を確保できた。国や市町村と連携し、全道域でGX関連産業はじめ地域の特性を活かした産業集積を図る。
道は北海道大学をはじめ道内の大学や札幌市、千歳市等と連携し、道内での半導体製造や研究開発、人材育成などが一体の複合拠点実現を目指し、関連予算を提案している。道は事業を通じ、どのような役割を果たそうとしているのか。
北大での教育プログラム構築、半導体の主要製造工程の実習可能なラボを整備し、半導体人材の育成体制を全道に波及させ、大学と半導体企業との共同研究を支援し、研究開発力の向上、大学院生の育成を図る。取り組みや成果を道内外に発信し、北海道の優位性をPRする。
新たな地球温暖化対策計画を取りまとめた国の動き等を踏まえ、早急に道のゼロカーボン北海道推進計画や目標値を見直し、産業活動の状況との兼ね合いも考慮した道独自の目標設定を検討する必要がある。知事の見解を伺う。
国の新たな計画や考え方を参考に、経済と環境が好循環するゼロカーボン北海道の実現に向け、2035年度、40年度の削減目標を示すため、「ゼロカーボン北海道推進計画」の見直しを行っていく。
国は第7次エネルギー基本計画を閣議決定し、再生可能エネルギーと原子力を脱炭素電源と位置づけた。国の動向を踏まえ、北海道省エネ・新エネ促進行動計画の見直しを進める必要がある。今後どのように対応する考えか。原子力利用に関する考え方をゼロカーボン北海道推進計画に反映させる可能性についても伺う。
関連する道の計画について、今後、電力需給状況やGX関連産業の集積状況などの環境変化や国の政策、社会経済情勢の変化等を勘案し、適切に対応していく。
本道観光を取り巻く大きな状況変化を見据え、現在の北海道観光のくにづくり行動計画を全面的に見直し、刷新する必要がある。宿泊税に関する考え方を盛り込む方針も含め、見解を伺う。
観光は一次産業をはじめ関連産業に広く恩恵をもたらす一方、オーバーツーリズムなどの課題もあり、「持続可能な北海道観光」の実現に向けて計画を取りまとめる。宿泊税について、行動計画との整合性を図り、地域の課題や実態に即した施策となるよう取り組む。
国連が昨年発表した世界人口推計で、インドは世界最多の人口を有する国になり、GDPも6・5%の成長率が見込まれ、大きな発展が期待される。知事は、インドのこれからの可能性にどのような認識を持ち、今後どう対応していく考えか。
インドは市場規模や高い経済成長によるポテンシャルに加え、半導体やデジタル関連産業で高度人材の輩出を続けるなど、海外の成長力を本道の活力につなげる上で重要。今後、駐日インド大使館と連携したプロモーションイベント開催などを通じ、一層の関係構築を進めるなど、インドとの経済交流を展開していく。
埼玉県の県道で1月、下水道管の破損が原因とみられる大規模な陥没が発生した。道は道路陥没事故等の未然防止に向けた耐震化や予防的な維持管理にどのように取り組む考えか伺う。
新技術を活用した計画的・効率的な老朽化対策を推進するほか、今月策定の「北海道下水道耐震化計画」に基づき耐震化を進め、市町村に老朽化対策や耐震化の推進を働きかける。必要な予算確保を国に要望するなど、災害に強く持続可能な下水道の構築に努める。
道内の食品ロスは、令和3年度の推計で事業系24万㌧、家庭系9万㌧。一層の推進が求められる中、道議会超党派の検討会議から新たな北海道食品ロス削減推進条例案が提出された。道はこれまでの成果や課題をどう認識し、今後いかに推進するのか。
家庭からの食品ロス発生量は順調に減っているが、事業系は横ばいが続く。道議会で検討中の条例等を踏まえ、道では来年度、食品ロス削減推進計画を改定し、家庭系と事業系の両面からさらなる発生抑制に向けた取り組みを展開する。
米価の高止まりを受け、国は備蓄米21万㌧の放出を決定した。店頭の販売価格が下がるという期待の一方で、生産者からは米価が不安定となり経営への影響を懸念する声も聞かれる。知事の見解を伺う。
道では消費者に対し、国が公表するコメの流通状況を発信するとともに、国に対して備蓄米制度の適切な運用をはじめ、合理的な費用を考慮した価格形成の仕組みづくりや、消費者の理解醸成に向けた取り組みを求め、北海道米の安定供給と稲作経営の安定に取り組む。
本道の代表的な水産物であるコンブの生産量は、昨年初めて1万㌧を割り込んだ。道として今後どのように取り組みを進めていくのか。
道では昨年8月に「コンブ生産安定対策検討会議」を立ち上げ、先般「コンブの生産安定対策(案)」を取りまとめた。海洋環境の観測体制構築や資源回復に向けた増殖手法の開発、高水温耐性を持つコンブの育種などの試験研究を推進するなど、地域と一体となり生産安定対策を推進していく。