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自民党の質問・意見書等

効果的な輸出拡大戦略と経済対策に取り組め


道政上の諸課題について

(1)米国の新たな関税政策等について
1.北海道グローバル戦略
中野議員

米国の新たな関税政策により、自由貿易の一層の進展という北海道グローバル戦略の前提が大きく変化した。出入国管理政策などにも大きな変化が生じ、高度人材のグローバルな分散が進み、人材獲得のチャンス拡大にも注目が必要。道は今後どのように対応する考えか伺う。

鈴木知事

情勢の変化を踏まえ、貿易など外需の取り込み、外国人材の確保や定着に向けた取り組みをオール北海道で進めることが必要。道の国際施策の道標である本戦略の本年度中の新たな策定に向け、検討を進める。

2.北海道の食の輸出拡大戦略
中野議員

中国による日本産水産物の輸入停止措置を受け、道では北米や東南アジア等への販路拡大に努めてきたが、米国の新たな関税政策による影響は避けられず、食関連事業者からの先行き懸念の声が絶えない。どのように本道の食の輸出拡大戦略を展開していく考えか。

鈴木知事

道として引き続き、国や関係機関と連携し、道内事業者への影響の把握・分析を踏まえ、新たな対象地域に欧州を加えテストマーケティングを実施するほか、現地ニーズを踏まえた商品づくりの推進など、第Ⅲ期の戦略を効果的に展開し、米国の関税措置について適時適切な対応に努める。

3.水産物の輸出拡大
中野議員

道内では関係者が一丸となり輸出先の多角化を進め、現在、米国が中国に代わるホタテガイの最大の輸出先となっているが、このたびの関税措置で消費の落ち込みが懸念される。今後、米国やその他の国々に対し、どのように水産物の輸出拡大に取り組んでいくのか。

鈴木知事

新たな取り組みとして、米国東海岸で富裕層を対象にホタテや秋サケのプロモーションを実施するほか、シンガポールのバイヤーを生産地に招へいし、商談機会を創出するなど、輸出品目の掘り起こしにつなげる。今後の中国への輸出動向も注視し、道産水産物の輸出拡大に取り組む。

4.経済対策
中野議員

米国による関税措置への緊急対応パッケージの一環として、国は「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金」を積み増した。多くの企業や事業者が、エネルギーや原材料の価格高騰、深刻な人手不足などに直面し、極めて厳しい状況にある。電気・ガス・灯油価格や食料品価格の高止まりが道民生活に大きな影響を及ぼしている。道は一刻も早く実効性ある対策を講じる必要がある。今後どのように対応する考えか伺う。

鈴木知事

国の交付金措置を受け、現在取り組んでいる「物価高緊急経済対策」における各種事業の着実かつ効果的な執行を図るとともに、交付金を活用した必要な支援の検討を指示した。地域の実情やニーズを踏まえ、当面の物価高の影響緩和に向けて必要な対策を早急に取りまとめ、所要の補正予算案を本定例会に提案する。


(2)日本海沿岸の地震津波対策について
中野議員

道は6月3日、日本海沿岸で最大クラスの地震・津波が発生した場合、死者約7500人を見込む被害想定を公表した。地震発生から津波到達までの避難する時間が限られているのが特徴。道は今後どのように対応する考えか伺う。

鈴木知事

被害を最小化するための減災計画の策定に全庁を挙げて取り組むよう指示した。津波避難施設等の整備や住民の避難意識向上など必要な対策が進められるよう、市町村が抱える課題の把握に努め総合的な防災・減災対策に全力で取り組んでいく。


(3)地方創生2・0について
中野議員

6月13日に閣議決定された地方創生2・0の基本構想では、地方イノベーション創生構想の展開やふるさと住民登録制度など、新たなコンセプトが打ち出された。国の検討状況を踏まえ、現在の北海道創生総合戦略を見直す必要がある。どのように対応する考えなのか。

鈴木知事

国の基本構想で示された6つの基本姿勢や視点を踏まえ、道の創生総合戦略の見直しを検討していく。これと並行し、着手できる施策についてスピード感を持って取り組んでいく。


(4)交通政策について
中野議員

北海道交通政策総合指針の目指すべき方向性は2030年度までとされているが、見据えていた新幹線の札幌開業は相当程度の遅れが避けられない状況。指針の今後の方向性をどう認識し、次期重点戦略をどのように検討していく考えか。

鈴木知事

現下の交通環境は人手不足が深刻化するなど新たな課題が顕在化し、集中的な対策が一層重要。人手不足をはじめ、利用促進による収益確保、事業者間連携などの施策を充実・加速させるため、新たな重点戦略の策定に向けた検討に着手し、持続可能な交通ネットワークの確保に取り組む。


(5)ヒグマ対策について
中野議員

改正鳥獣保護管理法の施行が9月1日に予定され、夏頃までに国からガイドラインが示される見通しだが、市町村や猟友会などから具体的な実施手順や責任の所在、ハンターの身分保障等の明示を求める声が寄せられていると聞く。ヒグマ管理計画に基づく、市町村におけるゾーニング計画の策定を推進するとともに、事前訓練の実施などの準備が必要。道として、どのように取り組んでいくのか。

鈴木知事

より実践的な訓練を道内各地で実施するとともに、緊急銃猟時における技術的助言や職員派遣など市町村への応援体制の充実も図り、個体数管理や市町村が実施するゾーニング計画の促進など、ヒグマ対策の一層の強化に取り組む。


(6)地域医療の確保について
中野議員

道の調査では、道内の公立病院の約6割が赤字で、物価や賃金の上昇に連動した診療報酬改定の仕組みの導入が必要との声が寄せられている。道は国の補正予算を活用した緊急支援事業を措置したが、実質的に公立病院が対象外となり、関係自治体は大きな影響を受けていると聞く。地域の医療提供体制の維持・確保にどう取り組むのか。

鈴木知事

新税導入後の施策の在り方などを幅広く意見交換するべく準備している。引き続き、私自身が直接お話を伺うほか、制度や使途の詳細の検討を深め、多くの方にご理解いただけるよう不断の努力をしてまいる。


(7)介護人材の確保について(略)

(8)子ども施策の推進について
中野議員

道では第1回定例会で制定されたこども基本条例に基づき、新たにこども計画を策定し、関連施策を総合的・一体的に進めるとしている。市町村を含め地域と一体となり計画を着実に実行するため、今後どのように取り組んでいくのか伺う。

鈴木知事

道では施策の推進に当たり、小・中・高校生や特別支援学校生から意見を聴く取り組みや、性や健康に関する正しい知識の普及について大学生などから提言してもらう取り組みを進めるほか、関係団体等から意見を伺い、今後の施策を検討していく。


原発再稼働に向けてどう知事意見を示すのか


(9)原子力発電所の再稼働について
中野議員

泊発電所3号機の再稼働に関する審査が最終段階を迎えているが、どのようなプロセスを経て知事意見が示されるのか明らかでなく、関係者の活動や事業展開にも影響する。新たな燃料輸送ルート等についての安全審査が実施されていない中で知事が再稼働を判断することは時期尚早との意見がある一方で、北電が再稼働を目指す2027年は大量の脱炭素電源を必要とするラピダスの半導体生産が本格化する年でもあり、知事の早期判断に期待する声もある。知事は、国から泊発電所再稼働について理解要請があった場合、どのようなプロセスを経ていつ頃を目途に、何を判断材料として回答する考えか伺う。

鈴木知事

原子力規制委員会による審査が継続中で、再稼働に関して予断を持って申し上げる状況にない。今後、国から理解要請が行われた場合は、先行県の事例も参考に適切に対応していく。


(10)高レベル放射性廃棄物の最終処分について
中野議員

道は令和8年度の国の政策や予算に向けた提案・要望の一環として、最終処分地選定のプロセス見直し等に関する提案を行ったほか、新たに処分地選定の実現性確保も求めた。道はこのたびの提案実現に向けて、どのように取り組んでいく考えなのか。

鈴木知事

道内で先行して、2町村における文献調査と議論が開始されたが、その後、調査地点に広がりが見られず、北海道だけの問題になってしまうことを懸念している。最終処分事業について、国において国民の理解を得ていくことが必要。今後もさまざまな機会を通じ、処分地選定プロセスの見直しなどの対応を国に求めていく。


(11)AI政策の推進について
中野議員

国のAI法が5月に成立した。道は今年度の機構改正で、新たにAI・DX推進局を設置。AIを本道の産業経済の発展に結び付けるには、普及啓発からAI活用型スタートアップ企業の育成まで幅広い政策テーマについて総合的に推進していかねばならない。今後どのように対応していく考えか伺う。

鈴木知事

AI法では、この冬をめどにAI基本計画を策定するとしており、道として新組織での取り組みを早期に整理した上で、デジタル産業や半導体など広く関連分野も含めた推進方策を取りまとめ、本道の活性化につなげていく。


(12)インフラ整備の推進について
中野議員

設計労務単価の上昇や主要建設資材費の高騰で工事 費全体が大きく押し上げられている一方、道の公共事業等の予算は横ばいで推移しており、必要かつ重要なインフラ整備事業が計画通りに進まないことが強く懸念される。今後どのように取り組んでいくのか伺う。

鈴木知事

道では物価高騰等にも配慮した公共関連単独予算を計上しており、国は国土強靱化実施中期計画で今後の資材価格や人件費の高騰等の影響を予算編成過程で適切に反映すると明記した。道として、今後とも国に強く要望し、必要な予算を確保するなど、社会資本の整備を着実に進めていく。


(13)住宅等に係る開発行為について
中野議員

倶知安町で住宅2棟の建設を目的に森林が伐採され、林地開発許可を受けないまま森林開発が行われ、都市計画法上の確認等、早急な対応が必要な状況と聞く。行政機関がもっと早く現地の状況等を適切に把握し、関係部局が連携して対応していれば回避できたのではないか。違法行為の再発防止に向け、どのように実効性ある取り組みを行うのか伺う。

鈴木知事

道では引き続き倶知安町と連携し、開発行為に係る法令や条例に必要な手続きを速やかに行うよう強く求める。再発防止に向け、事業者や依頼主に分かりやすい情報発信を新たに行い、庁内関係部局が連携して市町村をサポートするほか、地域の実情に即した土地取引の規制強化を国に要望するなど、抑止につながるよう取り組む。


(14)本道農業の振興について
中野議員

道はこれまで農家負担を軽減する、いわゆるパワーアップ事業の実施など整備促進に取り組んでいるが、この事業は本年度で終了するため、地域からは事業継続を求める声が多く寄せられている。道は今後、農業農村整備事業をどのように進めていくのか伺う。

鈴木知事

パワーアップ事業について、農業者からは「基盤整備を行い、スマート農業の導入が進んだことで生産性が向上した」「これからも基盤整備を着実に進めてほしい」などの声を伺っている。今後とも、持続的で生産性が高い本道農業・農村の確立に向けて農業農村整備を効果的・効率的に継続していく。


(15)コメ政策について
中野議員

コメの価格の高止まりが続き、国は備蓄米の売り渡しを集荷業者が対象の一般競争入札から、小売業者が対象の随意契約に変更した。円滑な流通が求められる一方で、生産者からは今後のコメ価格の不安定化を懸念する声もある。生産者が将来に希望を持って営農でき、消費者が継続的に購入できる価格が形成され、北海道米が安定的に供給されるよう、今後どのように取り組んでいくのか。

鈴木知事

多様なニーズに応えたコメ生産の推進とともに、計画的な基盤整備による生産性向上やスマート農業技術による農作業の効率化、北海道米のブランド力向上による消費拡大を図るほか、本策の見直し、生産や流通の合理的コストを考慮した価格形成の環境づくりを国に求めるなど、今後とも各般の施策を総合的に推進していく。


(16)森林づくりを担う人材の確保について
中野議員

森林づくりを担う人材確保が喫緊の課題だが、本年度の北森カレッジの入学者数は定数の約半数にとどまるなど厳しい状況が続く。道では、有識者が参画する検討会での意見を踏まえ、北森カレッジの入学者確保の取り組み強化とともに、林業従事者の就業環境改善など、森林づくりの担い手対策を総合的に進める必要がある。今後、担い手確保にどのように取り組んでいくのか。

鈴木知事

北森カレッジの入学者確保のため、道内外の普通高校の個別訪問先拡充とともに、林業先進地・フィンランドとの交流など魅力あるカリキュラムをSNS等で広く発信するほか、検討会において年齢などの入学資格要件の緩和、複数の修学コースの設定等の検討を進める。労働環境改善に向け、事業体に対する施設や設備等の導入支援、研修の充実、就労の長期化を促すための奨励金支給や若手従事者の交流促進など、人材の育成・確保に一層取り組む。


(17)水田農業の将来像について
中野議員

道内の水田農業を巡る情勢は、人口減少に伴う米の国内消費の減少、猛暑による米の品質低下など多くの課題がある。令和3年には水田活用の直接支払交付金が見直され、営農や地域の将来像が見通せないとの声が多く寄せられた。どのように本道農業の将来像を示し、実現に取り組むのか伺う。

鈴木知事

需要に応じた米生産を基本に、輸入依存度の高い作物の安定生産など、本道水田農業の目指すべき方向性や先行事例などを示し、地域のビジョンづくりを支援する。実現に向け、水田活用直接支払交付金の円滑な運用をはじめ、生産基盤の計画的な整備やスマート農業による省力化、北海道米の消費拡大や輸出促進などを総合的に展開し、水田農業の持続的な発展に取り組む。